◾️発表会の曲[3]

2026.8.2(sun.)

今日も有り難く涼しい朝の空気で日曜日を迎えました。

日曜日、発表会の曲紹介、まいりましょう♩

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毎週月・水・金・日曜日に更新♫

発表会開催までの道のりと共に、52名のご出演者の皆様の演奏曲目を紹介してまいります。

ご出演者の皆様が選んだ音楽に、私なりの視点で向き合いながら、そして演奏される生徒様へ想いを寄せて紹介してまいります。初出演の方から出演回数順にご紹介してまいります。

※当日のプログラムにて変更となる場合もございますのでご了承ください。

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3回目の今日はクラシック。

L.v.ベートーヴェン

「ピアノソナタ第28番(op.101)

第3.4楽章」

ベートーヴェンは56年の生涯で、32曲のピアノソナタを書き残しています。

この28番のソナタはベートーヴェンの作曲人生において、晩年へと向かい、新しい作風と方向性へと変化してゆく転換期の象徴でもあります。

この曲が完成したのは1816年、ベートーヴェン45歳の頃。

それまで続いていたフランス軍のウィーン侵攻、かつてベートーヴェンも尊敬していたナポレオンによる戦争と敗北、そして愛する弟の死、その息子でありベートーヴェンの甥にあたるカールの親権問題に悩まされ、これまでの創作意欲がすこし失われていった時期。

それでも作曲への研究を怠らなかったベートーヴェン。

バロック時代の音楽や宗教音楽、対位法を改めて研究し、ミサ曲「ミサ・ソレムニス」や、「ハンマークラヴィーアソナタ」などを書き上げ、そこにはフーガや対位法を盛り込んだ傑作となっています。

その中でも興味深いのは『遥かなる恋人に』という連作歌曲を書いていること。

この存在は後に、シューマンやシューベルトといったロマン派にて多くの歌曲の名曲を残している作曲家たちにも影響を与えています。

そんなときに書かれたピアノソナタ28番。

1804年、聴覚障害に気づき始めた20代後半、遺書まで書き残しながらも、芸術家としての使命を果たそうと心に決め、交響曲第3番《英雄》や《運命》をはじめ、ピアノソナタですと、熱情ソナタやワルトシュタイン、そして告別ソナタと、数多くの傑作を残した10年間は“傑作の森”と呼ばれています。

そしてベートーヴェンは40代に入り完全に聴覚を失っていった頃。ピアノソナタ28番や連作歌曲をを仕上げたその年からのベートーヴェンの晩年の作品は内省的で叙情的な表現とともにカンタービレな作風が増えてゆきます。

28番のソナタもまさにそんな作風。

豊かな旋律と共に始まり、マーチの要素を含んだ2楽章を経て、3楽章にて再び1楽章の旋律が戻ってきて、フーガを用いながら、絶えずカンタービレな作風で彩られ、歓喜に満ちて終楽章で締めくくる。

第3楽章の冒頭にて記された言葉が印象に残ります。

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Langsam und sehnsuchtsvoll

〜ゆっくりと、そして憧れに満ちて

そしてその後、

Geschwind, doch nicht zu sehr
〜速く、しかしあまり速すぎず」
und mit Entschlossenheit
〜そして決然と(強い意志を持って)
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…あ、私の好きな「決然と」の指示がある。

と思いながら、今回この曲を演奏される生徒様へと想いを寄せます。

昨年の発表会を終えてすぐに、お問合せくださった生徒様。

子供の頃に習っていたピアノを、その後社会人となってからもその時その時でピアノを弾いてこられた人生、定年という一つの大きな節目と共に、これまでには確保できなかったピアノへ向かう時間が生まれ、「独りよがりの練習でははり合いも達成感もない」と思い、ご縁あって当教室へと繋がってくださりました。

ベートーヴェンの28番のソナタには、生徒様にとって運命的な出逢いのきっかけがありました。

それは、昨年2025年のショパン国際コンクール第2位に輝いた実力者、カナダ出身の若きピアニスト ケヴィン・チェン。

その演奏に魅せられて、そしてベートーヴェンの研究された晩年の傑作へと心に火がつき、昨年のレッスン開始ほど無くして、28番のソナタのレッスンをご一緒にスタートして、今に至ります。

私も晩年のソナタで1位か2位を争う好きな28番のソナタ。

憧れであり喜びに溢れたソナタをレッスンさせていただけるのはなんとも光栄なことで、私にとっても再び学びに溢れた時間の積み重ねとなっています。

生徒様の人生において、新たなスタートと共に手にした28番のソナタ。

まだまだ修練が必要とご自身も日々の練習に向き合いつつ、レッスンを重ねている今日この頃。

それでも最後の最後まで、憧れに満ちてそして強い意志と共にこの作品と真摯に向き合い、素晴らしい時間の積み重ねとステージ経験となるよう、祈って、私もサポートしてまいりたいと、同じように強い意志で向き合うばかりです。

そして何よりも、晩年の憧れのソナタをこうして私も向き合わせていただけることへの喜びと感謝を添えて。

今日も素敵なピアノライフを!

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