◾️発表会の曲[45]

2026.10.14[wed.]

久しぶりにしっかりと恵みの雨が降りそそぐ朝。

レッスン終わり、ご出演者も、そうでない生徒の皆様からも「先生、お忙しい中、お身体に気をつけて」とお気遣いの言葉を連日いただき、恐縮する想いです。私も皆様へ、同じようにそう願う日々。

酷な練習よりも、睡眠を重ねて小刻みにコツコツと。練習にはそれが大事、と願ってます。

それでは曲紹介を。

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毎週月・水・金・日曜日に更新♫

発表会開催までの道のりと共に、52名のご出演者の皆様の演奏曲目を紹介してまいります。

ご出演者の皆様が選んだ音楽に、私なりの視点で向き合いながら、そして演奏される生徒様へ想いを寄せて紹介してまいります。初出演の方から出演回数順にご紹介してまいります。

※当日のプログラムにて変更となる場合もございますのでご了承ください。

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本日も再びショパンの名曲です。

F.F.ショパン

「バラード 第1番」

映画や、フィギュアで使われたことで、21世紀以降になり改めて知名度を上げた作品ではないでしょうか。

ショパンは、生涯で「バラード」を4つ書き残しています。

ジャズやロック、ポップスの世界でいうと、「バラード」とは、スローテンポ、甘く切ない曲、美しくロマンチックな曲で使われる意味が含まれていますが、ショパンのこの「バラード」は、物語という意味を含んでいます。

元々は文学に由来し、叙事詩や譚詩といった物語性のある詩のことをさします。

そしてさらにはバラードの語源はラテン語の「バレエ」。中世フランスでは、人々が輪になって踊りながら歌う曲のことをさしていたそうな。

なるほど、元々は舞曲からきているということでしょうか。

そんな叙事詩をショパンは器楽曲でも表現しようと、「バラード」という曲を書きました。

クラシック音楽で初めて誕生したのがショパンの「バラード」でした。

彼はこの4つのバラードにおいて、同じポーランド出身である詩人アダム・ミツキェヴィチの作品から霊感と着想を得て書き上げたと言われています。

この第1番は、彼の物語詩『コンラット・ヴァレンロッド』に関連づけたのだとか。

昨日ご紹介したピアノソナタは39年の人生においてショパンの晩年の傑作でしたが、このバラード1番は26歳頃、祖国ポーランドからウィーンへと渡り、そしてパリへ、その間に書かれたとされています。

まだ若かった頃にこんなに人生観溢れたドラマチックな作品を書いていたとは。やはり“ピアノの詩人”と称されるのも納得です。

そんな『コンラット・ヴァレンロッド』のストーリーとは。

幼少期に家族や祖国リトアニアをドイツ騎士団に奪われた主人公が、復讐と祖国愛のために敵であるドイツ騎士団に潜入し、やがてその総帥(ヴァレンロット)にまで上り詰めて組織を内側から崩壊させます。そして後に復讐という目的を遂げた直後に毒を飲んで自決するという重い悲劇。

バラード第1番の冒頭、ユニゾンで“pesante”という指示[重々しく]で登る旋律、そして不協和音の余韻と共に。それは物語の幕開け。

そしてメランコリックに始まる旋律は、憂いと孤独。

そこから柔らかな長調の旋律。祖国への愛と幸福を表して。

そしてその旋律をモチーフにドラマチックな展開はその絶頂。

そして勝利から崩壊へ。

そして“presto(きわめて速く)”の指示と共にクライマックス、復讐を遂げた末の自決。最後のオクターブで駆け降りてくる旋律はまさに愛と復讐を経て奈落へと堕ちてゆく悲劇の結末をそのまま表したよう。

でもそこには、崩壊というよりも、祖国への愛という強い意思を感じて駆け降りてゆく旋律に私は感じます。

この作品をショパンが書き上げた頃、ちょうどワルシャワ動乱の報を受けて祖国の情勢を心配していた時期、激しい感情の起伏と共に祖国への想いを反映させたものだったのでしょう。

そんな祖国への情熱と愛、そして叙事詩という音楽を生み出したショパンの名曲。

今年この曲を選ばれた生徒様、8年ぶりにこの曲と向き合っています。

兼ねてより、「あの時(前回演奏した年)から10年後にでも、もう一度演奏したい」と話していた生徒様。

実は私のレッスンライフにおいて、バラード第1番を初めてレッスンさせていただいた機会が生徒様とのレッスンでした。

8年の時を経て、生徒様も理想の演奏がまた少し変わり、私もこの曲そのものだけでなく、演奏への解釈、捉え方が変わり、新たな気持ちで向き合う反面、思い入れのある生徒様のレッスン風景として残っている分、懐かしいような有難いような気持ちで向き合えています。

特別な舞台で、生徒様にとってもピアノ人生という自分自身の物語と共に今のご自分らしく音に向き合って演奏してほしいなと願っています。

バラード第1番に向き合う機会をこうして与えてくださり私からも感謝を込めて。

今日も素晴らしいレッスンライフとなりますように!

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