2026.10.26[mon.]
発表会前最後の休日を迎えました。
とにかく、静かに過ごす。
そう決めて迎えました。
できる準備は全て昨日までに済ませて。
明日からは怒涛のレッスンスケジュールです。
不安を抱えつつ、それをどう自信に変えて過ごし当日を迎えられるか。
何よりも、家族が元気にこの1週間を過ごしてくれることも願い、家のことが出来るだけおざなりにならぬよう、いつも通りを心がけて。
昨日までの51回、3ヶ月に渡り毎週決めた曜日に案内通りに発表会の曲を紹介してまいりました。何とも言えぬ安堵の思いです。
予定通りに書き続けてこれたのは、もちろん私も家族も穏やかに暮らせていたこともひとつ、そして何よりも読んでくださる生徒の皆様が楽しみにしてくださったこと、それはご出演されない生徒の皆様も、それから元生徒様まで、そして日頃ブログを楽しみにしてくださる読者の方々、ご出演者においては、ご自分の紹介があると「先生、ありがとう」と言葉をいただけたこと。
書くということ、そこには私なりに調べ直すこと、興味を持って向き合うことの時間を要したわけで、暮らしの中でなにか不安定なことがあれば決して予定通りに出来たわけではなかったと思います。
書き続けていると、私自身も生徒様へ、そして音楽へと学びと興味、感謝と愛に溢れて、そして読んでくださる皆様もまた同じように音楽への発見と再認識、そして同じように感謝と愛にあふれ、互いに心を通わすきっかけになりました。
お読みくださったすべての皆様へ、改めて感謝申し上げます。
それでは、最後に、講師演奏として、私が今回演奏する曲を紹介いたします。
P.チャイコフスキー
「グランド・ソナタ Op.37 第1楽章」
チャイコフスキー53年の生涯にて、38歳の頃に書き上げた、交響曲のイメージを持ったピアノ独奏曲として大作といえる作品。
チャイコフスキーにとって、その頃は“放浪の旅”と共に作曲活動をしていた頃。
“放浪時代”と呼ばれ、祖国のロシアを離れ、ヨーロッパを転々としながら作曲に専念していました。
その背景には、不幸な結婚生活がありました。
1877年、チャイコフスキーは熱烈なアプローチを受けて教え子の女性と衝動的に結婚しますが、この結婚生活はわずか数週間で完全に破綻してしまいます。精神的に追い詰められた彼は自殺未遂を起こすほど衰弱し、すべてから逃げ出すようにロシアを離れたということ。
その結婚にもまた背景があり、彼は同性愛者でもありました。
当時のロシアでは、一般市民の同性愛者には重刑が課されるほど、社会的扱いは厳しいもので、そんな自身が同性愛者であることを隠すために、結婚を“してしまった”、といったところでしょうか。
そんな彼の放浪時代、音楽への創作意欲は爆発してゆきました。
スイスはクラランに住んでいた頃。

あの名曲「ヴァイオリン協奏曲」、そして「交響曲第4番」が書かれたのも同時期。
まさに、《休息と復活》の時代だったのです。
「ヴァイオリン協奏曲」には、“再生と幸福への夜明け”を掲げて。ヴァイオリニストにとって憧れの作品です。
「交響曲第4番」には、“運命”をテーマに。
死を覚悟するほどの結婚生活への絶望。放浪の旅にて、悟った自身の幸福への運命。
そして「グランド・ソナタ」はどうでしょう。
英雄的、生命力。精神的危機から激しい闘争、まさに“再始動”を示した作品。
そんな放浪時代を機にチャイコフスキーは数多くの名作を残しました。
あのバレエ音楽「くるみ割り人形」もまさに、その時代を経て書かれた名作。

今年の発表会は、シューベルト、ショパン、ベートーヴェンの選曲においても「再生、復活、勝利」といったテーマが背景にある曲がいくつかありましたが、覚えていますでしょうか。
私もまさに、そんな一曲を選ばせていただきました。
次、ホールでの開催には、必ずチャイコフスキーのグランドソナタを弾くぞ。
そう3年前から思っていました。
15年の教室の節目。
私にとって、これまで試行錯誤しながら、教室磨きに努めてきた15年。
自分の意思をようやく強く持てるようになってきた今を実感しながら、この節目はゴールではなく次への再始動、これからの15年を歩むための決意表明のような思いで、この1楽章を弾き切りたいと思います。
これまでの歩みに喜びと感謝、そして自信をもって。
今日も素敵なピアノライフを!

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