2026.10.23[fri.]
いよいよ発表会までの準備期間1週間となりました。
本日は夕方から1日目のリハーサル日です。午前中、通常通りレッスンをしてから。来週埋まり続けるレッスンスケジュールのため、「もう今日しか出来ないんだ」と準備をあれこれ済ませて、会場入りします。会場にてカメラマンとの打ち合わせも入ります。長い1日となりそうです。
それでは発表会の曲紹介を。
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毎週月・水・金・日曜日に更新♫
発表会開催までの道のりと共に、52名のご出演者の皆様の演奏曲目を紹介してまいります。
ご出演者の皆様が選んだ音楽に、私なりの視点で向き合いながら、そして演奏される生徒様へ想いを寄せて紹介してまいります。初出演の方から出演回数順にご紹介してまいります。
※当日のプログラムにて変更となる場合もございますのでご了承ください。
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今日は再びベートーヴェンの登場・・
L.v.ベートーヴェン
「ピアノソナタ 第31番(Op.110)第3楽章〜フーガより〜」
ベートーヴェンの56年の生涯にて51歳から52歳の頃、晩年にて書き上げた傑作ソナタ。
つい先日、ベートーヴェンの「三大ソナタ」と称される中から、「悲愴ソナタ」をご紹介しました。
三大ソナタには、悲愴、そして月光、熱情ソナタが入ります。
ベートーヴェンが30年かけて書き残した32曲のソナタにて、その三大ソナタを書き残してから、更に時を重ね、最後に書き残した3つのソナタは、ベートーヴェンの後期ソナタの傑作。彼の音楽人生、そしてソナタ作曲における集大成のような作品です。
ぜひ1楽章から聴く意味のある曲なのでご紹介する演奏では全楽章を挙げておきます。
クラヴィコードからピアノへと、楽器の急激な進化と密接に結びつきながらベートーヴェンはピアノソナタを書き続けてきました。
32曲の、第1番から弾いていってみると、ピアノの進化が伺えます。使われている音域やペダルの指示など。

ベートーヴェンは、晩年、「オラトリオ」を書きたいと願って、あの有名な「第九」を書き上げた後に、オラトリオ作曲に専念するためにイギリスからヘンデルの楽譜を取り寄せていたそうなのですが、亡くなる直前にようやく届いたということから、彼の願いは実現しなかったのだとか。

ベートーヴェンはそうした想いから、叙情性、歌謡性、声楽的な要素を後期ソナタにも反映させたのでしょう。
この31番の3楽章は、まさにアリオーソ(アリア、歌のように)から始まり、そして緻密に彩られたフーガ、そして再びアリオーソ、最後にもう一度、荘厳に、そして高貴で煌びやかに叙情性あふれたフーガと賛歌で彩り、受難と再生の物語のように幕を閉じます。
3楽章の冒頭アリオーソには、「嘆きのアリア」、そしてフーガへと繋ぎ、再びアリオーソ、そこには「疲れ、悲嘆にくれて」、さらに最後のフーガでは、「生き生きと。新しい生命をもって」と記されています。
あの「悲愴ソナタ」を書いた数年後に記した遺書にあった言葉。
“まだ何かを成し遂げたいという心に突き動かされている。”
この想いは、死を覚悟するまでずっと持ち続けていたのかもしれませんね。

この31番のソナタには、変イ長調が使われています。18世紀の頃、変イ長調は、音楽評論家クリスティアン・シューバルトにより「墓の調性」と定義されていたそうな。“死、朽ち果てる”といった意味から、“厳粛、最後の審判”と結びつけられる調性でもあったそうです。それが19世紀に入るとガラリと変わり、甘美でロマンチックな曲に使われるようになります。前回紹介したショパンのワルツ第2番はまさに変イ長調。どちらかというと確かに後者のイメージ通りですよね。
ベートーヴェンはきっと、「墓の調性」の方を意識しつつ、再生へと讃え、訴えかけたドラマをこのソナタに盛り込んだのでしょう。
そんな厳格で煌びやかにそして叙情性にあふれたベートーヴェンの傑作ソナタを選ばれた生徒様。
2012年から15度目のご出演です。
14年前からずっと、「先生、ベートーヴェンの110(このソナタ31番)をいつか弾きたいんですよ」と話してくださっていました。
私もまだ手にしたことのない傑作を、目標に掲げてくださる生徒様の姿に、どこか恐縮な想いを抱きながら私も大きな刺激をいただいたことを今振り返るとそう思い出します。
そして今から7年前、いよいよそのソナタを手にした発表会。
やればやるほどに、難しい。
なるべく生徒様の持っている感性とスキルで向き合える精一杯で挑んだ1年間だったと思います。
そこからまた数年の時を経て、昨年。
それはそれはまた実りある1年となる形でもう一度このソナタを手に取りました。
そしてそこから、気づけば楽譜をしまい込むことなく、弾き続け、向き合い、今日までまいりました。
曲そのものの表面だけでなく、ピアノを演奏するということの根本を改革し直して向き合った1年間。
生徒様がいつの日か、「こういうレッスンを受けたかった」と話してくださった時があります。
生徒様との14年のレッスンライフにて、私もまた痛感というか、それまで伝えられていたことはピアノを弾くということの奥深くに生徒様と至っていなかったのだ、と私も心を入れ直させていただいたような感情になりました。
今日までレッスンに通い続けてくださり、「ありがとうございます」と改めて伝えたい想いです。
まだまだこれから、生徒様のピアノ演奏を磨いてゆける、と確信と期待をもてた1年間でした。
まだまだ課題はそこに溢れていますが、それでも前進し続けた1年を自信に、生徒様にとっても「再生」のような気持ちで声高らかに演奏し切ってほしいです。
これだけソナタの傑作に向き合わせていただけた時間に私からも感謝を込めて。
今日も素晴らしいレッスンライフとなりますように!

