2026.8.6[thu.]
とにかくレッスンと発表会準備と練習に向き合う時間が色濃くなってきていることを実感する日々。
暑さからの体力と気疲れを背負いながら見上げた空。
やっぱり日の傾きは進んでいます。
ご出演者の皆様にとっても、一回のレッスンが貴重に思えてくる時期に突入してきているような気がします。
私も、やはりそれは一緒。
昨日、最終のレッスン枠が急遽キャンセルになり、すっと帰ろうとは思わずに、ピアノに座りました。

先日の自分の録音を聴いて、あれほど生徒の皆様に「拍子ですよ、拍子感じてますか〜?」と伝えながら、自分だって疎かにしているじゃないか…と喝を入れるレベルで、今更リズムの間違いが発覚。
大事な旋律の流れ、まとまり。
そんなことを思いながら、自分にとって心彩られる良い演奏を目指して、とにかくピアノに向かう今日この頃。
「間に合うんでしょうか。」
「先生、どうしましょう…」
そんな声が今一番飛び交う時期。
まだ時間はある。けれど、余裕のない演奏や物理的な時間の確保、心の持ち方につい焦りを感じる時期。
その感情の波、今が一番色濃い気がします。
それでもまずは練習に向かうこと。
その時は悶々とすることも多いけれども、頑張った末に迎えた舞台経験は、時間と共にその日までの道のりも含めて素晴らしい経験だったと気づきます。
そしてまた「次こそは」と目標を持っている自分がいたりして。
生徒様それぞれの性格、性質、価値観があり、ご自身で決意した発表会へと向き合います。
全員が思うように進むことなんて毎年ないのだけれども、とにかく「できますよ」と応援したい気持ちで、背中を押します。
そんな日々も、内心では酷く気力を使うわけですが、そんな中での自分の練習も、うまくいかないと、時に心が真っ直ぐ向かずに闇雲な練習になったりします。
どうしたら弾けるようになるのか。
どうしたら素敵な演奏に近づけるのか。
それに気づき、考え、フォローして、また日々の練習へと生かしてモチベーションを上げていただくのがレッスンの存在。
ピアノの練習は苦行の方が多い。
それでもやり続けること。
1週間そこらでは結果が分からないものです。
それでも続けることで必ず気づくこと、出来ること、見える景色があります。
練習はとにかく行きつ戻りつが当たり前。
闇雲にがむしゃらに弾き込んだけど弾けない…諦めモードになる。
それでもレッスンでヒントをもらえると少しの希望の光が見えたりして。
また帰ったら弾いてみよう、とまたのめり込む。
先月末のレッスンでもある生徒様とそんなシーンがあったことを思い出します。
私から指摘した箇所を、生徒様なりに2週間練習に励んだのだけれど、一向に弾けるようにならない、と諦めモードでレッスンに訪れてくださった日。
そこには一つの意識と改善ポイントがあり、それをご一緒に確認すると、「弾けるようになりそう」とまたモチベーションを上げて、そして1週間の練習期間を経て再びお会いすると、出来るようになっていたこと。
正味3週間かけて取り組んだわけですが、最初の2週間は無駄だったかといえば、そんなことは1ミリもなく。
そうもがいた時間があって、出来るようになるヒントを得て、出来るようになる。
それはひとしおな喜びであり、そして自分に自信をひとつ持てるきっかけにもなります。
ピアノの練習は、本当に時間をかけるもの。
憧れを抱いてコツコツと時間をかけるもの。
それでも完成したときの演奏はその時々でまた変わってゆくのも時間の芸術。
弾かなくなれば忘れる、弾けなくなる。
それでもがっかりすることはなくて良いんじゃないかなぁ、と思います。また弾き始めれば必ず思い出しますから。
昨日も、「あぁ、まだまだだなぁ〜、完成まで」と私も心で呟きながらも、そんな時に浮かぶのは、昨年大ヒットした映画で私も観た『国宝』の名シーン。
人間国宝歌舞伎役者として登場する万菊さんが、主人公の俊介との稽古で発する名ゼリフ。

あなた、歌舞伎が憎くて仕方ないんでしょ。
でもそれでいいの。
それでもやるの。
女方の役者のオーラを醸し出した万菊さんの口調で、そう話すあの声と表情が、ふっと心に浮かび聞こえてきます。
そのシーンで伝えた言葉の内容には、歌舞伎役者として与えられた使命を含んでいる意味が込められていますが、ピアノを弾く私たちにとっても、すぐに諦めてしまいそうになったとき、がむしゃらにやってもがいてみるときも、
「それでいいの。それでもやるの。」
〜自分で決めたことなんだから。その音楽に、ピアノに憧れて〜と添えたくなるような感覚で、向き合いたいものだなぁ、と常々思います。
そんな気持ちで今日も、生徒の皆様とピアノに向かい、奮闘しながら、憧れを描いて、1ミリの前進でも時間をかける美しさを実感できるよう、レッスン時間を重ねたいと思います。
そして私も自分の練習と向き合って。もうすぐお盆休みがやってくるので、なんとかそれまでに感覚を掴みたいもの。
今日も素晴らしいレッスンライフとなりますように!
