◾️発表会の曲[5]

2026.8.5[wed.]

梅雨明け、早朝のカラッと爽やかな風がとても心地よいです。太陽がエネルギーを十分に蓄えまぶくしく燃え盛る時期。もう明後日には立秋。乾いた空気と眩しい太陽は、どことなく秋へ向かう合図にも感じます。

さて水曜日、発表会の曲紹介、まいりましょう♪

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毎週月・水・金・日曜日に更新♫

発表会開催までの道のりと共に、52名のご出演者の皆様の演奏曲目を紹介してまいります。

ご出演者の皆様が選んだ音楽に、私なりの視点で向き合いながら、そして演奏される生徒様へ想いを寄せて紹介してまいります。初出演の方から出演回数順にご紹介してまいります。

※当日のプログラムにて変更となる場合もございますのでご了承ください。

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5回目の今日はクラシックを。

F.F.ショパン

ノクターン 第17番(Op.62-1)

ショパンは、生涯でノクターンを21曲書いています。

そのうち生前に出版されたのは18曲、そしてよく知られている第20番を含め死後出版された遺作が3曲。

生前出版された18曲の中で最後に出版された作品がこの64の2曲。

1846年、パリにて。

38年の生涯にて36歳のときですから、最晩年の曲といってよいでしょうか。

長い間連れ添ったジョルジュ・サンドとの関係が悪化し、体調においても兼ねてより患っていた結核の進行、体力的にも、そして精神的にも追い詰められていた頃。

そしてこの翌年にはサンドと破局をしています。

ちなみにショパンのノクターンのほとんど18曲はパリにて作曲されており、パリ時代にて彼が確かに影響を受けたのは、当時ノクターンが人気を博していた作曲家フィールド。

ショパンは人生で初めて書いた曲はポロネーズとされています。

そしてマズルカ。

これは故郷ポーランドに根付いた民族舞踏、舞踊。

彼が自然と馴染んでいた伝統の鼓動とリズムが自然と音楽へと生かされていたわけですが、晩年になると、そんなマズルカもポロネーズも、ポリフォニックに、そして対位法の技法を数多く散りばめた作品が増えます。

先週紹介したベートーヴェンのピアノソナタと晩年の傾向にリンクしますよね。

ショパンは晩年特に、心身の不安定や孤独からか、毎日バッハの『平均律クラヴィーア曲集』を弾いていたといいます。

弟子たちにも、「ピアノの上達にはバッハを弾くことは欠かせない」とよく話していたそうな。

そしてショパン自身も晩年に改めてバッハの音楽の特徴であるポリフォニー(多声音楽)と対位法を学び直します。

幻想ポロネーズや、晩年に書かれたマズルカ、バラード第4番、ピアノソナタ第3番などは、本当によくポリフォニーの要素が散りばめられており、このノクターン17番もまさに、そんな一曲です。

ポリフォニックで、そして歌唱的。

生前出版された18曲のうち、晩年に書かれたノクターンこそ傑作揃いです。

その中での17番。

出だしの低音から凛と登り詰めるアルペジオは印象的です。

そこから甘美な旋律に繋ぎ、舟歌ような中間部分、そして人生の儚さや尊さを表すように舞うトリルの連続、そして再び舟歌に乗り高音域へと行ったり来たりする旋律は、もう人生の最後の最後に息途絶える前に自分の人生を微かな光と共に堪能しているような感覚。

こんなにショパンの人生がすべて詰めこまれたノクターンがあったのかぁ…と気付かされたのは、私自身やはりショパン国際コンクールを拝聴してから。

そして同じように、ノクターン17番に、ご自身の人生と最後が思い描かれるように魅了され手に取ってくださったのが、今回この曲を発表会に選ばれた生徒様。

当教室初めてのご出演です。

昨年末、2025年も残りあとわずかというとき、ご丁寧にメッセージをくださったことを思い出します。

ご自身にとってもご多忙な中、1年以上と前から当教室を目に留めてくださり、ブログに目を通して、当教室に集まる生徒の皆様が音楽に向き合う心や姿を想像しては兼ねてより想いを寄せてくださり、お問い合わせくださったあの日。

今思えば、絶妙なタイミングだったのだと、その偶然と必然に感謝が溢れます。

人それぞれの人生と共に向き合う音楽とピアノ。

「先生の想いに、みんなが引き寄せられて集まっている教室なんだろうなぁ」

と話してくださりながら、体験レッスンの時に、想い溢れて、当教室へとお問い合わせくださった経緯を話してくださる姿は今でも忘れません。

それから8ヶ月を経て、今、どんな風に当教室を通してピアノライフと向き合われていることでしょう。

いつかのレッスンにて、帰り際、

「あぁ至福の時間です、本当に。」

と仰った言葉もまた印象的で。

音楽に、音に向き合う。真摯に。心から味わう。

発表会へと向かうこの時期はとりわけ、そんな感情も高まり、本番までの道のりも素晴らしい人生体験と音楽体験になることを願い、当教室を初めて目に留めてくださった日から月日を経てご縁あって繋がれたことに感謝をして、私もノクターン17番にどっぷりと最後まで浸りながら、サポートしてまいりたいと思います。

今日も素晴らしいレッスンライフとなりますように!

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