◾️発表会の曲[20]

2026.8.31[mon.]

8月最終日を迎えました。残暑はあっても蝉の鳴き声は気づくとツクツクボウシに変わっていて、季節の移り変わりを感じた8月の終わりです。

いよいよ発表会の曲も20回目。まだまだ続く、[ご出演4回目の生徒の皆様]のご紹介。本日もまいりましょう。

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毎週月・水・金・日曜日に更新♫

発表会開催までの道のりと共に、52名のご出演者の皆様の演奏曲目を紹介してまいります。

ご出演者の皆様が選んだ音楽に、私なりの視点で向き合いながら、そして演奏される生徒様へ想いを寄せて紹介してまいります。初出演の方から出演回数順にご紹介してまいります。

※当日のプログラムにて変更となる場合もございますのでご了承ください。

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昨日に続いて本日もクラシックを…

F.シューベルト

「ピアノソナタ 第21番(D960)第1楽章

シューベルトのこのピアノソナタ作品は、彼の人生において大きな存在、そして傑作。

生涯で21のピアノソナタを書き上げており、そのうち最後の19番からこの21番までの三作品は、亡くなる2ヶ月前にまとめて書き終えています。自筆で、《1828年9月26日》と記してあるほどに、それは明確な事実。

作曲に取りかかった時期は不明ではありますが、当時、既に梅毒によって蝕まれた身体と闘い、そして苦しみ、そして受け入れ、死を覚悟するまでを描いたような作品です。

31年の短い生涯にて、晩年になればなるほど作曲意欲は衰えることなく、歌曲、交響曲や弦楽曲、そしてピアノ曲と数々の傑作を生み出しています。

そして亡くなる1年前に、尊敬し続けたベートーヴェンの死に直面したことも、作曲意欲をかき立てるきっかけになったとも語り継がれています。

あの2万人が参列したと言われるベートーヴェンの葬儀にて、シューベルトはベートーヴェンの棺を担いだ1人。

そんな憧れと偉大な壁であったベートーヴェンを追うように、シューベルトは翌年この世を去るわけですが、その晩年に書かれた“三大ピアノソナタ”には、ベートーヴェンを彷彿させるような強い想いが溢れつつ、それぞれにシューベルトの精神状態が映し出されています。

19番のソナタは病からの苦しみと闘い。

20番のソナタは、生から死へ、そして孤独。

そして21番は、死への受け入れと、安らぎ。

シューベルトが亡くなる1週間ほど前に、親友のショーバーへ宛てた手紙が残っています。

これが最後の手紙と言われて。

親愛なるショーバーへ
僕は病気だ。もう11日間も何も食べていないし、何も飲んでいない。
・・・
この絶望的な状況を乗り切るために、読む本(文学)を貸してくれないか。助けてほしい。
・・・・・

苦しみ、絶望を抱えながら、書き上げた傑作ソナタ。

21番の1楽章の冒頭には、すでに苦しみから悟りの域へと到達した安らぎを感じる美しい旋律。

そしてこの1楽章の印象的な《間》と左手の低音のトリル。

襲いかかる死への暗示、足音のように。

その上で、今の現実的な苦しみから、いずれ安息の地に辿り着くんだ、と自分の心に言い聞かせているかのような旋律。

そしてシューベルト特有の、転調。

その色の移り変わりは、もう彼の死後の世界へとさすらい歩く姿が滲み出ています。

生涯独身であったシューベルト、ベートーヴェンに比べると恋愛経験もそう多くなく、それでも友人たちにはとにかく恵まれました。

孤独でありながらも、手を差し伸べる友人がいて、そして心を寄せてくれる生真面目な兄がいた。

彼の人生は、とにかく感謝や慈愛に溢れた時間だったのでは、と私なりに思ったりします。

そんな死を覚悟しながらも、苦しみ、葛藤と孤独感、そして安らぎへと昇ってゆくまでを音に詰め込んだシューベルトの最後の傑作ソナタを今年の発表会へと選ばれた生徒様。

2023年から4度目のご出演です。

3年前の春、ご家族の人生の一つの節目と共にご縁あって新潟へ、そしてふと新しい生活と共に、昔から馴染みのあったピアノライフを再び求めて、当教室へとたどり着いてくださりました。

ふと思いついて、探してたどり着いてくださった当教室の景色。

このブログからいつも綴り続けてきた想いと景色が、そのまま自然と生徒様に届いていたようです。

今年の春まで再び人生の一つの決断へと向き合いつつ、今年もまたこの新潟にてピアノライフをご一緒できることになり、兼ねてより「今年もまた先生の教室の発表会に出られるのなら、長調の曲を」と思い描いていらっしゃった生徒様。

日頃、音楽へ、作曲家へと深く熱く想いを寄せ探究心のある生徒様らしい選曲です。

今年は生徒様にとってまた気持ち新たに迎えたピアノライフ。

シューベルトは人生の終わりを悟りながら書き上げた曲ですが、きっと19番や20番のソナタにある苦しみや孤独ではなく、自分の人生への愛と感謝が込められたような作品、その作品に生徒様ご自身の様々な想いを当てて演奏を形にしていただけたらと、今改めて願います。

今年もまた発表会をご一緒できるこのご縁に大きな喜びと学びと感謝を込めて、最後までサポートしてまいります。

今日も素敵なピアノライフを!

✴︎皆様のご来場お待ちしております!

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