2026.9.16[wed.]
9月後半の始まり。発表会の曲紹介がスタートしてからもうすぐ2ヶ月が経とうとしています。
本日もまいりましょう⭐︎
————————————————————
毎週月・水・金・日曜日に更新♫
発表会開催までの道のりと共に、52名のご出演者の皆様の演奏曲目を紹介してまいります。
ご出演者の皆様が選んだ音楽に、私なりの視点で向き合いながら、そして演奏される生徒様へ想いを寄せて紹介してまいります。初出演の方から出演回数順にご紹介してまいります。
※当日のプログラムにて変更となる場合もございますのでご了承ください。
————————————————————
クラシックweekの本日は…
R.シューマン
「トロイメライ」
シューマンといえば、この「トロイメライ」
こちらもまたきっとピアノに馴染みがなかったとしても、耳にしたことのある曲ではないでしょうか。
この曲は、『子供の情景』という12曲の小さな作品を集めた曲集の中におさめられた一曲。
第7曲目に入っています。
シューマンが28歳のとき。
妻であるクララとまだ恋人関係にあったとき、彼女から送られてきた手紙に添えられた言葉から、彼女へと心を寄せて書き上げた作品なのです。
あなたの目には、私は時々子どものように映るでしょう
シューマンがピアニストを目指し、クララの父へと弟子入りしたことがきっかけで出会った、愛娘のクララ。7つ歳下ではじめは妹のように慕っていたシューマン。
兄妹のように強い絆で結ばれていた2人がやがて恋に落ちる。
そしてもちろん父は猛反対。
そんな中で離れ離れになりながらも手紙のやりとりを続け、クララからの言葉に、シューマンもまた、夢のように幸せなひとときだったその頃を思い出し、曲にしたためた作品。

そこにはシューマンらしく彼女への想いを音へと暗号で示しています。

冒頭から6小節目、「ド・ラ・ラ」という高揚する旋律。
ドイツ音名で示すと、「C・A・A」
“CLARA-クララ-”の頭文字を密かに音に込めました。実はシューマンはよくこの暗号を使っていたのです。
う~ん、なんとも執念深いような、シューマンの愛への強さと言うかこだわりというか。
そんな想いは、結果的に法の場へと持ってゆかれそして認められて、めでたく結婚、たくさんの子宝に恵まれて、それでいて最後は精神の病に侵されるというシューマンの人生。
ピアニストを目指すも叶わなかった夢、そして愛するクララとの夢の時間、作曲家としてだけでなく、文学の分野において評論家、文筆家としての才能も開花させ、多くの作曲家たちの夢と活躍が彼の名言と共に世の人々に届けられたこと、コツコツと懸命に直向きに、執念と信念を持って歩んだシューマンの人生はもっと大きく讃えたいものだなぁ、と思います。
この「トロイメライ」は多くのピアニストたちが今もこれまでも、ステージにて奏でることが多い一曲。
20世紀の巨匠ホロヴィッツも、この曲が愛奏曲であったとのこと。

革命を恐れて祖国を離れ、1986年、82歳にして実に61年ぶり祖国の地を踏み、開催したコンサートにて、プログラムの終盤に奏でた「トロイメライ」はなんとも言えぬ情が混じり、私的にジーンとくる演奏と姿です。
よくコンサートの最後に奏でていたと言う「トロイメライ」
彼が浮かべていた「夢のような景色」とは。いつもどんな景色だったのでしょう。
さぁ今回、世界的に愛奏されるこの「トロイメライ」を選ばれた生徒様。
2021年から6度目のご出演です。
2020年の幕開けと共に、ご縁あって当教室にてピアノライフを始められました。
一度当教室を目にしては、心の中で閉じていた教室の景色。
お母様からの人生における特別なプレゼントとなったアップライトピアノと共に、残りの人生で描いたピアノライフをどこでどんなふうに形にしようかと、想い、考え、「やっぱり」と再び当教室へと思い切って扉を叩いてくださった6年半前。
体験レッスンにてお越しくださった日、目をキラキラさせて、それまでの人生をピアノの前に座りながら話してくださったその光景が、今も印象に残っています。ソナチネアルバムの楽譜を手にしながら。
その表情を見ながら、「あぁ、これ。私が大人だけのピアノ教室にして良かった、と思う瞬間」と心に呟きながら、生徒様の表情と共に、お話を聞いていました。
今年の春の弾き合い会にてスピーチで言葉にしてくださったこと。
「私にとってピアノは苦行でしかありません。でも憧れです。」
うん、うんと頷きながら、その時、6年半前に出逢った時の表情がふっとちらつきました。
そんな今年の春、大切なご友人との突然の別れがありました。
「またね」と、言葉を交わして、その「また」が叶わなかったこと。
今年、この「トロイメライ」にそんなご友人への想いを乗せて演奏します。
これまで、お母様へと想いを乗せて、大切なお母様の思い出の洋服を身に纏って奏でたステージ、ご結婚40周年にとご主人へ感謝の想いを添えて奏でたステージ。
今思えば、いつも発表会の選曲とステージには、人生と共に想いを寄せるきっかけを作っていた生徒様。
お母様から贈られたピアノは、苦行の日々となるピアノライフだとしても、きっとピアノは毎日喜んでいるでしょう。
そして何より離れて暮らすお母様も。そして今年は遠く離れたご友人へ。
生徒様にとっての「夢のような景色」
どんな色で、浮かべていることでしょう。
今年もたくさんの愛と感謝を込めてステージに立てるよう、私も同じように想いを込めて最後までサポートしてまいります。
今日も素敵なレッスンライフとなりますように!


コメントを残す